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法的な悪人(Se)と原罪の悪人(Ni)

はじめに

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約15年前、とある知人が、R18同人ノベルを出版したんだ。マイナーなゲームの裏方考察と称してな。「女主人公が男悪役に監禁される話」だ。この記事も微妙に苦手な人は注意が必要だ。


…この内容が中々に一般購入者から誤解を招くもので、非難の嵐に巻き込まれたそうなんだ。別に監禁ピーというテーマ選択自体は、特にR18であれば珍しくないテーマだよな。悪いのはテーマではない。


購入者からの苦情の要点は「男悪役があまりにもクソ過ぎる」との事だ。これ非常に難しいのが「監禁に至る迄の心理的な遷移を正確に読み取ってもらう事を前提とした悪役」だったんだ。


あれだ「R18本を買ってきたらガチの読解問題だった件」


そもそも男悪役について余程深く考察しないと、ただのガチクズにしか見えないのよな。行為は法で裁かれる事になるが、どこまで思想に情状酌量の余地があるのか、という話なのよな。書き手が期待した考察点は。


男悪役がクソ過ぎる、そんな事は分かり切っている事なんだ。だが…「彼をここまで追い詰めてしまったのは、一体何だったのだろうか?」という話だな。


知人はこの本をR18同人ノベルではなく「社会の犠牲者となった非行青年Aについての考察、及び監禁被害者との関係」といった、非行青年について焦点を当てた作品として発売するべきだったんだよな。詰まるところ、非行臨床のジャンルよな。…そりゃ難しいよな。何がエロ本だよ。


ちょいと内容を拝借してきたので「非行青年Aの背景を深読みしながら」要約を一読願いたい。

 

要約1ー監禁に至る迄の経緯ー

物語は「青年Aが属していた違法組織に、女主人公が属していた取締組織からのメスが入り、違法組織が瓦解しかかっている状態」からスタートする。


青年Aが属していた違法組織には「粉飾決算・薬物転売・労働基準法違反・部下の使い捨て」といった罪状があった。青年Aは違法組織にて幹部として「部下を集めるためのプロカパンダ」を行なっていた。組織幹部としては露出の多い立場にいた。


そのプロカパンダの内容は「腐敗した国家の撲滅」だった。詰まるところ「自分たちは腐敗した国家を撲滅する為、義勇軍を募集している」という話だ。


ところがその違法組織に加入しても「悪事を働かされた挙句、使い捨てにされて終わる」といった内情だった。…そもそも、そこの国家は「法的には」そこまで腐敗していないというオチだ。悪役組織に大義がなかったと解釈される事になる。


詰まるところ違法組織メンバーは「運悪く」社会に不満を抱いていた者達だ。悪事を働きたいだけの者、自業自得の末の貧困、マジで運がなさ過ぎた奴、闇鍋状態だな。

 

 


青年Aはある日「女主人公と個人的に対話がしたい」と部下に言い付ける。女主人公は対話に応じる事にした。


青年Aは、女主人公に「お前の事が好きだ、付き合って欲しい」と伝える。しかし女主人公は「お互いに住んでいる世界が違う、ごめんなさい」と返答した。


(青年Aは美青年で、色仕掛けによる懐柔を疑われても仕方のない立場にいた。女主人公としては、青年Aの告白が真意なのか区別する事が出来ない状態だった)


告白を断ると、その場では青年Aは引き下がった。しかし後日、女主人公が単独で行動しているタイミングを狙って「拉致」を行った。告白を無碍にされた報復及び「個人的な事情から女主人公に恨みを抱いていた」


(この時点で違法組織本部は差し押さえられており、他の幹部も投降している状態だった。殆ど青年Aの単独行動だった)


青年Aの家(1DKマンション1F)に連れてこられた女主人公は、地下の倉庫に監禁される事となった。青年Aは部屋を改造して、地下に違法に倉庫を増設していた。


このノベルは「女主人公が監禁されていた9日間」に焦点を当てたものである。

 

要約2ー監禁生活ー

青年Aは女主人公を人質にとり、立て篭りを行なっていた。女主人公に対する暴力、性的虐待が行われた。


青年Aは監禁性癖があり、拘束具を所持していた。実行したのは今回が初犯だった。「幸せな人間を監禁して、人生を台無しにしてやりたい」という願望を抱いていた。今までは妄想で満足していたが、ストレス下において爆発したものと思われる。


監禁中に「女主人公に精神衰弱を起こさせる為のプロカパンダ」を行い、衰弱した所を「ピー」していた。女主人公側の同意は無かったが、抵抗出来ない状態だった。裸の状態で手錠と足枷、猿轡を使用されていた。


(違法な幼児ポルノを所持しており、元々性的に非常にマズイ傾向にあった。小学生や中学生に性的な目を向けていた。要するに悪しきロリコンだな)


女主人公に与えていた食料には、当時は合法だった覚醒剤が使用されていた。女主人公の健康を破壊する為だった。女主人公に対して餌付けするような形で食料を与えていた。自分に懐かせる為だった。口では「お前の事が好きだ」と主張していた。


青年Aは酷い精神錯乱状態で、この状況でも自分が正しいと思い込んでいた。「双極性障害I型」を疑われた事もある程、錯乱状態では何をしでかすか分からない人物だった。


(部下は青年Aのこの気性を恐れて、言いなりになっていた。部下に対する虐待も日常的に行なっていた。目下の者を虐待する事に、快感を感じる傾向があった)

 

要約3ー監禁から解放後ー

監禁中に「ピー」を繰り返した事により、監禁から解放される頃には、女主人公が身篭ってしまった状態だった。女主人公は子供を下ろす事が出来ず、青年Aの子供を出産する事となった。


青年Aは逮捕後、無期懲役となった。逮捕当時26歳だった。青年Aの罪状は状況証拠が多く、死刑判決には至らなかった。


青年Aは「必ず君のもとへ帰ってくる。30年待ってくれ。30年後に必ず、俺はこの子供を引き取りにくる。だからそれまで無事でいてくれ」と女主人公に伝えていた。


女主人公は監禁から解放後、PTSDを発病し精神病院に入院。退職し生活保護となった。子供は男の子だった。子供は青年Aによく似ており、性格に難があった。


女主人公は最後には「自分は青年Aの事が好きだった」と思い込んでいた。青年Aはそっち系の薬を盛ったり、洗脳を行なっていた。子供を強引に作ってしまえば、自分の物になってくれると考えていた。


無難に子育てをしているところで、物語は終了した。

 

解説1ー極度のストレス爆発ー

…あーうん、ヤバいよな。ここから怒涛の解説な。本編(要約)だけだと、明らかに誤解されるノベルだったのはしょうがない。


青年Aを、擁護しようとする事は、辞めた方がいい。分かるよな、みんな。行為としてはガチクズの極みだからな。無駄なところだけよく頭がまわる青年だな。悪しき2Eだな。


青年AのIQは作中ではIQ130程度とされている。…は?と思うだろ。


彼は「ストレスに対する過剰反応」という大きな欠点があった。過去には14歳にして無差別障害事件を起こし、少年院に送られていた。平穏時こそ普通だが、ストレスが爆発した時がヤバ過ぎる人間だった。

 

解説2ー青年Aの家族構成ー

青年Aの育った家は中産階級で「父・母・青年A・妹」の4人暮らしだった。


妹は誰からも愛される性格で「両親の関心を掻っ攫ってしまう」人間だった。一方の青年Aは大人しく、両親からは手のかからない子だと思われていた。


青年Aの視点だと「両親の愛を集める妹と、妹ばかりを溺愛する両親」といった解釈だった。青年Aには生活上の扶養義務は果たしていたが、愛情に偏りがある状態だった。ペットの犬を虐待するなど、危険な予兆はあった。


22歳にして工業大学を卒業するも就職氷河期、法的にグレーな職場しか就職先が無かった。25歳にして法的に完全黒な職場へと転げ落ちる事となった。

 

解説3ー青年Aの主張ー

青年Aからすれば、愛情を貪欲に貪り食う人間、そして愛情を偏らせる人間、両方に理不尽さを感じた。


詰まるところ家族から学んだのは「リソース分配の不適切さ」だな。そして「多くを貰っている人間程、自分が恵まれている事に気がつかない事」も学んだ。


女主人公は青年Aにとって、かつての妹の姿そのものだった。女主人公を褒めそやす人間は、馬鹿な両親の姿を思い起こさせた。そして不満が爆発した。

 

解説4ー青年Aにとっての女主人公ー

女主人公は社会的に白、青年Aは社会的に黒だ。詰まるところ「女主人公が主、青年Aが従」の形となる。


青年Aにとって監禁とは「無神経で貪欲な人間への復讐」だった。こんな醜い人間が社会で持て囃されるのはおかしい、というのが、青年Aの本心だ。


女主人公を屈服させる事は、青年Aにとっては「不平等さへの報復の儀式」だった。恵まれている事に気がつかない人間全てへの憎悪が、女主人公へ向かっていた事になる。


監禁に至る迄の女主人公の態度は、青年Aにしてみれば「無知で無神経で傲慢な人間」そのものだった。詰まるところ「目には見えないリソースを貪った醜い人間」に見えていた。


「そんなにもお前は恵まれているのに、なぜお前は俺を見放したんだ?」というのが、青年Aの本当の意図だ。恵まれている者は、慈しまなくてはならない。富める者は、貧しい者を助けなくてはならない、という考えだな。


女主人公は「法的な視点で物事を判断した」青年Aは「原罪の視点で物事を判断した」


監禁中に女主人公が受けた屈辱は、青年Aが普段感じている理不尽さそのものだった。逆さの立場となった時に、理不尽さが爆発した事になる。


(あれだ、親が子にした仕打ちは、子が親になった時に返ってくる、というやつだな。抽象的な意味で)


青年Aにとっては法的に悪人として裁かれる事よりも、女主人公のような「人として堕落した」人間となる方が余程恐ろしかった。堕落した人間が社会正義を騙ることなど、あってはならない。


青年Aは法的な悪人、女主人公は原罪としての悪人。…考えようによっては、どっちもどっちという話だな。書き手の知人の言いたかったのは。


青年Aは女主人公に執着し続ける事になる。青年Aの展開した崇高な神話においては「女主人公こそが原罪の権化」だからだ。自分は永遠に、彼女を罰しなくてはならない。自分は根気よく、彼女の面倒を見てやろう。


彼にしてみれば「原罪を肯定する国家そのものが罪深い」という解釈だ。エロ同人でやるには、無理のあるお題だよな。しかし、何かしらの価値を感じる作品ではあるよな。世の極悪人は、こういった独自の尺度で動いているのかもな。


いかんせん、青年Aは頭が良すぎたな。しかし自分のマイノリティな価値観を言語化出来るほど、言語化能力が高く無かったんだ。ちょっと向き不向きが出てくる内容だしな。


こういったマイノリティな価値観を、どこまで尊重すべきなのか、論理的な妥当性があるのか、人間には難しすぎるテーマよな。だが「公共の福祉」は絶対な訳で。これにて終了だな。